「…明」

「んあ?
 どうした、やけに思いつめた顔して」

 居間で本を読んでいた明に、初音が声をかけてきた。

「相談があるの…」

 もじもじと、恥ずかしげに言う初音。

「相談?
 珍しいな、どうしたんだ?」

「あのね…今日身体測定だったでしょ?」

「ああ、そうだな」



「…私って、学年の中で一番胸がちっちゃいんだって…」



「ぶぅぅぅっ!?
 がはっ…げほっ…そ、それで…?」

 初音の言葉に吹き出しつつ、平静を装いつつ聞く明。

「私の胸を大きくするのに、明に協力してもらいたいの」

「協力って…」

「あのね、胸を大きくするには牛乳を飲むのがいいんだって」

「ああ、身長を伸ばすとかに効くって聞くな…」

「でもね、牛乳よりも効くのがあるんだって」

「へぇ?煮干とかか?」

「男の子に大きくして貰うのが、一番効くんだって」

「……お前、それ誰から聞いた?」

「薫姐さん」

「………さて、メシを…」

「協力してくれないのっ!?」

「そんな話信じてるんじゃねぇ!!」

「嘘なの!?」

「いや、あながち間違っちゃいないが…」

「じゃあ協力してよっ!」

「意味分かって言ってるのかお前はっ!!」

「………胸のトレーニング?」

「………」

 どう説明したものか…。
 明は頭を抑えながら悩むのであった。


(終われ)


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