6月の晴れた日。
 日本有数のホテルの控え室には、4組の男女が結婚式の開式を待っていた。

「いやぁ〜晴れて良かったよな〜」

 真っ赤なドレスを着た薫が笑顔で言う。

「そうだな…」

 薫の右隣に座る新郎が言った。

「梅雨の時期なのに、こんなピーカンお天気なんてなぁ。
 やっぱ日頃の行いがええからかなぁ?」

 青を基調としたドレスを着た葵が言う。

「…薫が関東圏の雨雲を集めて、それを葵が日本海上にテレポートしたからだろ…」

 葵の右隣に座る新郎が、頭を抱えながら呟く。

「そんなこと言って、本当は晴れて嬉しいくせに」

 薄い紫色のドレスを着る紫穂が、右隣に座る新郎の手を握りながら言う。

「心を読むなぁっ!」

 本音をばらされて叫ぶ新郎。

「にしてもまだ始まんないの?
 もう1時間は待ってるわよ」

 薄い黄色のドレスを着る澪が不機嫌に言う。

「そうだな、もうそろそろ始まるはずだけど…」

 澪の右隣に座る新郎が、腕時計を見て言った。


がちゃり


「うぃ〜っす。
 もう始まるから順番に…」

 扉を開けた賢木の言葉が止まる。

「…わかってても異様なもんだな…




 皆本が『4人居る』って光景は…」

 各花嫁の右隣に座る4人の皆本を眺めつつ言う賢木。

「だって局長が一夫多妻は駄目だって言うからさぁ」

「そうやそうや、局長もケチなんやから」

「だから皆本さんを増やしちゃえばいいって話になったのよね」

「澪も参加するとは思わなかったけどな〜」

 ケラケラと笑う薫。

「う、うるさいわねっ!
 私のESPで増やしたんだから、私も1人貰う権利はあるわよっ!」

 顔を赤くしながら澪が言う。


「「「「…これから先、平和にやってけるのか…僕の家庭は…」」」」


 4人の皆本が溜め息とともに呟いた。

「ははは、頑張れ男の敵。
 にしても…今夜は8…いや、元に戻ったら5…」

 ナニかを想像しながら呟く賢木。


がぼすっ(×4)


 賢木の左右の頬へ右ストレート、腹と背中へヤクザキックがめり込む。


「「「「下品なことを言うなっ!」」」」 


「ぐふっ…4ヶ所同時攻撃とは…さすが同一人物…。
 ジェット○トリームアタックも真っ青だっぜ…」

 そう言い捨てて倒れこむ賢木であった…。



(終われ)


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