「どうぞ皆本さん」
テーブル越しに座る皆本へ、明が麦茶を差し出した。
「ああ、ありがとう。
明くんの家に来るのも2度目だねぇ」
麦茶を一口飲み、皆本が言う。
「前回は揉めてたときでしたね。
ゆっくりして行ってください」
「うん、ありがとう…。
あれ?そう言えば鷹が居たよね、散歩中かい?」
キョロキョロと、居間を見渡しながら言う皆本。
明の父親が鷹を通して話していたので、印象に残っていたのであろう。
「………あいつは…もう居ません…」
明は窓の外、遠くを見ながら言った。
「え?もう居ないって…?
もしかして病気か何かで…」
「………」
皆本の言葉に、遠くを見据えたまま無言で答える明。
「……ま、まさか……」
明の様子に、皆本は何かを思いついた様子。
「………」
汗をかきながら聞く皆本に、明はただじっと遠くを眺めるのであった…。
(終われ)
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