〜絶対可憐チルドレン THE NOVELS B.A.B.E.L.崩壊 270ページより〜



「気をつけて――彼女が来るわ!」

 紫穂のその言葉が終わる前に、予備電源室の天井が崩れ落ちた。
 コンクリートの裂け目から姿を現したのは、全身に風をまとった白い肌の少女――落葉だ。
 吹き抜けの玄関ホールに浮かんで、彼女は、皆本たちの姿を無表情に見下ろしている。


「……『純白』かっ!」


 宙に浮いた状態の落葉を真下から覗き込んでいた薫が、オヤジ顔で拳を握りつつ叫ぶ。


だぁぁぁぁっ!


 その場に居た、落葉と薫を除いた全員がズッコケる。


「こんな時に何を言ってるかぁ!」

 緊張感の無い薫へ叫ぶ皆本。

「だってぇ〜見えちゃったしさ〜」

 悪びれも無く言う薫。

「…『やっぱり、あの手の病弱な女の子は白だよな…』って思ってるわ」

 いつの間にか皆本の隣りに立ち、サイコメトリーをしている紫穂。

「み、皆本はんのケダモノ〜!」

 紫穂の言葉に、葵が涙目になりながら引いている。

「人の思考を捏造するなぁぁぁ!!」

 今度は紫穂へと叫ぶ皆本。

『…ミナモトは白いが好きなの?』

「君もそんなことを言うんじゃないっ!
 と言うか、今はそんな話をしてる場合じゃないだろうっ!!」

 何故か混じって来ている落葉にも叫ぶ皆本であった。




「…相変わらず緊張感の無いわねぇ…」

「…それ、あんたにだけは言われたくないわよ…」

 腰をぐりんぐりんと回しながら、騒ぎが収まるのを待つマッスルに、澪は冷たくツッコミを入れるのであった。



(終われ)


戻る