日付は2008年4月18日。
 夕食後の犬神&宿木家の居間のテーブルの中心には、1冊の本が置かれている。
 この家の住人である明と初音は、その本を間に向かい合っていた。



「…初音、お前髪の色が…」

 テーブルの上の本…『絶対可憐チルドレン《解禁》ガイドブック』と書かれた本の裏表紙を指差して言う明。

「…黄色い…ね…」

 明の指の先に描かれている、デフォルメされた自分を見て初音は呟く。

「…どちらかと言えば金髪に近いな…」

「うん…。
 …ちょっと『Syn○rgy SP』のスタッフ絞めて来るね…」

 すっくと立ち上がる初音。

「やめいっ!俺らの出番がなくなるかもしれないだろうっ!」

 焦りながら、初音の腕を取って明は止める。

「うぅ〜…」

「原作でまだ色が出てなかったから仮の色だったかもしれないじゃないか。
 実際に出て来るときにはOPも修正されてるって………多分」

 フォローになっていないフォローである。

「そうだと良いけど…」

「ま、これからに期待だな。
 それに髪の色以外にも見所はあっただろう」

「誕生日とかね」

「そうそう、俺らにもようやく誕生日が出来たんだよな」

「これでケーキが食べれるんだねっ!」

「ま、まぁそうなるか…。
 誕生日ネタがようやく出来るからな…」

「でも、明は初音よりも1学年上なんだね…」

「あ〜、そうだなぁ…。
 同じ学年じゃないんだなぁ…」

「同じクラスで書いてたネタもあったのにね」

「そうだなぁ…そう言うのは全部没だよなぁ…」



(……が、頑張ってどうにか消化するさっ!!!) 



「…いまどこからか半泣きの声が聞こえたような…」

 幻聴でも聞こえたのか、きょろきょろと周りを見渡す明。

「ねぇ明、そう言えばさ」

 ぱらぱらと、ガイドブックを見直していた初音が明へ言う。

「ん?なんだ?」

「何か忘れてるような気がするんだけど…」

 『何か』を思い出せずに頭をひねる初音。

「ん〜?
 そう言えば俺もそんな気がするな…なんだろう…」

 明も思い出せないらしく、2人して頭をひねり合う。






「明く〜んっ!初音ちゃ〜んっ!忘れないで〜っ!!
 って言うか、なんで私の紹介が無いの〜!?
 一発キャラじゃなかったんじゃないの〜!?!?!?」






 都内某所のマンションの一室。
 ザ・ハウンドの指揮官である小鹿圭子は、ガイドブックに載っていない自身の扱いに嘆き叫んでいた。



(終われ)


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